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IFRS財団の最新活動情報_IFRS財団の最新の活動報告

公開日: 2026年8月6日
 筆者: 鵜飼千恵氏 一般社団法人IFRS Foundation アジア・オセアニア 代表理事

1.はじめに

 この夏は、ヨーロッパ各地で記録的な熱波が観測される一方、日本でも厳しい猛暑が続いており、気候変動の影響を改めて実感する季節となっています。

 2026年7月の金融商品取引法改正を受け、日本ではSSBJ基準を通じたISSB基準の採用が完了し、正式に「ISSB基準採用完了法域」となりました。これは、日本におけるサステナビリティ開示制度の発展における重要な節目となります。
IFRS – Use of IFRS Sustainability Disclosure Standards by jurisdiction

 また、2026年7月14日、15日にNature Positive Summitが熊本で開催されました。このたびの地震により被災された皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。サミットでは、自然関連の課題について、ビジネス、金融、ガバナンスの分野で国際的な議論が行われ、ISSBの小森理事もパネル・ディスカッションに参加しました。自然関連分野を巡る議論は引き続き進展しており、ISSBでの自然関連のプラクティス・ステートメントの公開に向けて、今後も関連する動向や取組みに関するアップデートが予定されています。

2.IFRS財団に関連するご報告

1)韓国会計基準院主催 IFRS財団との国際セミナーへの参加(2026年5月)

 2026年5月28日に韓国会計基準院主催のIFRS財団との国際セミナーが、韓国出身のチェ・ジュンギョントラスティの就任を記念して開催されました。セミナーには、韓国の財界、会計業界、アカデミアなどから100名を超える参加者が集い、盛況のうちに終了しました。セミナーでは、IFRS財団リーカネントラスティ議長、チェトラスティのスピーチに加え、IASB、ISSB両副議長によるテクニカルアップデートなどが行われました。日本からも河野正道、田代桂子両トラスティが参加し、パネル・ディスカッションへの登壇等を通じて韓国のステークホルダーとのネットワークの構築及び強化を図りました。

韓国会計基準院主催 IFRS財団との国際セミナー

2)IFRS財団トラスティ会議の開催(2026年6月)

 IFRS財団のトラスティ会議が、2026年6月9日から11日にかけてカナダのモントリオールで開催され、主要な戦略的優先事項について協議を行いました。引き続き、7月以降も議論を継続する予定です。
 主な議論には以下が含まれます。

  • リーダーシップの交代
    次期マネージングディレクターおよびIASB議長の選考プロセスは最終段階にあり、後任はまもなく発表される予定。IASB副議長が、新議長就任までの移行期間中、IASBの暫定議長を務める。
    (注)2026年7月30日に新マネージングディレクターの発表がありました。
  • 資金調達戦略
    財団の資金戦略を見直し、IASBの管轄資金の更新・拡充、ISSBシード資金の更新または代替、ISSB活動支援のための収益のさらなる発展など、その実施の進展を議論。この戦略には、資金提供者の価値提案の明確化、財団の活動への資金提供の共通のグローバルな利益の強調、そして資金基盤の拡大が含まれる。
  • ガバナンス
    2025年にIASBとISSBの規模を縮小する決定を受けて、定款の修正案を策定。これらの提案は今夏後半に一般の意見募集のために公開される予定。また、財団の変革プログラムの一環として、5年間の事業計画の策定を推進。
  • 世界的な動向
    国際的な規制動向を検討し、世界中の資本市場がIFRS基準に依存していること、ISSB基準の採用や利用に移行する法域の数が増加し続けていることを確認し、高品質な持続可能性関連の開示の需要を強調。
  • 基準設定の進捗
    IASBおよびISSBの議長から最新情報を受け取り、IASBによるIFRS 第20号「規制資産および規制負債」の発行を含む継続的な進展を確認。
    IFRS – IFRS Foundation Trustees advance strategic priorities at Montreal meeting

3)IFRSタクソノミー諮問グループ(ITCG)委員の任命(2026年7月23日)

 IFRS財団は、2026年8月1日付でIFRSタクソノミー諮問グループ(ITCG)に対し、6名の新たな委員の任命と4名の再任を発表しました。ITCGは、IFRSのデジタルタクソノミーおよびデジタル報告戦略に関連する活動について、IASBおよびISSBに助言を行う専門的な協議グループです。日本からは、筏井大祐委員(JICPA)が退任され、新たに浅野圭子委員(PwC)が選任されました。筏井委員のこれまでのIFRSデジタルタクソノミーの開発への貢献に感謝の意を表するとともに、今後は新委員と共により議論を深めていければと思います。
 IFRS – New members appointed to the IFRS Taxonomy Consultative Group

3.IFRS財団年次カンファレンスの開催

 2026年6月29日、30日にロンドンでIFRS財団の創立25周年を記念し、年次カンファレンスが開催されました。約80の法域から500社以上の企業、投資家、コンサルタント、規制当局、基準設定者が対面およびオンラインで参加しました。2日間のイベントでは、IASBおよびISSBの最新プロジェクトや進捗、著名なゲストスピーカーからの見解が参加者に提供されました。

 カンファレンスの初日に、「ギャップを埋める‐統合報告と価値創造」と題したパネルディスカッションが開催されました。このセッションでは、企業がどのように統合報告を活用して投資家の関与を促進し、高品質なガバナンスを示そうとしているかを探る目的で行われました。セッションでは、メゾン・ハッターIASB副議長、ロイドISSB副議長、ラブレーチーフコネクティビティ・インテグレーティッドレポーティングオフィサー、デロイトUKのプール氏、AOオフィス所属の高橋範江インテグレーティッドシンキング フェローによるパネルディスカッションが行われました。また、セッションの中で、AOオフィスにおいて実施した日本企業30社を対象とした統合報告書および有価証券報告書の開示内容分析の調査結果が高橋フェローより報告されました。当該調査にご協力頂いた日本の関係者の皆様には心より御礼申し上げるとともに、今後のさらなる統合思考への高まりの一助に資すれば幸いです。

 また、同じくカンファレンスの初日に、「IFRS第19号 ― 早期適用および具体的なメリットに関する事例研究」が開催され、同基準を適用することのメリットとコストについて議論がされました。このセッションに、三菱商事の主計部 予・決算管理チームリーダーの山崎淳様にご参加いただき、早期適用に関する成果についてご紹介いただきました。日本企業による先行事例について、参加者から大きな関心を集めました。

IFRS年次カンファレンス 統合報告セッション

4.IASB関連報告

持分法関連プロジェクト

 IASBで現在再審議中の持分法会計に関するプロジェクトでは、2026年5月のIASB審議会において、日本の関係者との追加のアウトリーチで寄せられた意見等を踏まえた新たな提案が審議されました。その結果、一定の開示を前提に、関連会社との取引から生じた利得又は損失を全額認識する方法と認識を制限する方法のいずれかを企業が会計方針として選択できることを暫定的に決定しました。この決定を受けて、2026年6月に経団連との意見交換会を開催しました。改めまして、日本の関係者のご協力に大変感謝いたします。今後、IASBは、2027年上半期における改訂基準公表を目標として審議を継続する予定です。