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IFRS財団の最新活動情報

公開日: 2026年1月30日
 筆者: 鵜飼千恵氏 一般社団法人IFRS Foundation アジア・オセアニア 代表理事

1.はじめに

 新年を迎え、旧年中のIFRS財団への多大なるご支援に感謝するとともに、本年も変わらぬご高配を賜りますようお願い申し上げます。2025年10月より、前任の芝坂ディレクターからアジア・オセアニアオフィスの運営を引き継ぎました。今後とも、変わらず、IFRS財団とステークホルダーの皆様に資する活動の提供に尽力していきたいと思います。

2.リーカネン評議会議長及びマデラン事務局長の来日

   2025年12月8日、9日にIFRS財団のエルッキ・リーカネン評議会議長が3年ぶりに、ミシェル・マデラン事務局長とともに来日し、片山さつき金融担当大臣、金融庁、財務会計基準機構、日本公認会計士協会、日本経済団体連合会、日本証券アナリスト協会、東京証券取引所、日本銀行などを訪問し、対面でミーティングを持ちました。日頃からの日本の関係者の多大なご尽力に対する御礼を申し上げ、IFRS財団として投資家に対して財務的に重要な情報を提供するという使命を果たしていく重要性を伝えるとともに、現在、IFRS財団が進めている変革プログラムの進捗についてご説明しました。関係者の方には、その取組に対するご理解を頂き、引き続きのご支援をお願いさせていただきました。リーカネン評議会議長の日本の関係者に対するメッセージはIFRS財団のHPに記載されていますので、ご一読いただけると幸いです。

https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2025/12/el-tokyo-december-2025-prepared-remarks/)  

片山大臣との面談

3.IASB関連活動

1)リスク軽減会計の公開草案の公表(2025年12月3日)

 IASBは、金融機関がポートフォリオ全体でどのように金利リスクを管理しているかを、会計処理により適切に反映するための新しい会計モデルを提案しました。リスク軽減会計(Risk Mitigation Accounting)モデルは、現在のヘッジ会計では、実務上の金利リスク管理を十分に反映できていないという金融機関と投資家からのフィードバックに応えるものです。2026年3月に鈴木理事、ケレン理事、及び当該プロジェクトを担当しているテクニカルスタッフが来日して、関係者に向けて当該公開草案の教育セッションを実施する予定です。なお、当該公開草案のコメント募集期間は2026年7月31日までとなります。

2)FICG(金融商品協議会)のメンバーを発表(2025年11月26日)

 IASBは、金融商品協議会(FICG: Financial Instruments Consultative Group)のメンバーを発表しました。FICGは、IASBの金融商品関連プロジェクトを支援するために昨年12月に新設されたグループであり、専門的な技術知識および実務的な洞察を提供します。FICGは17名のメンバーで構成され、日本からは三菱UFJ銀行の古寺隼人氏がご参加いただけることになり、ご尽力に感謝申し上げます。

3)持分法プロジェクトのアウトリーチ

 IASBで現在再審議中の持分法会計に関するプロジェクトについて、2025年11月に関係者とのアウトリーチを実施しました。本アウトリーチは、日本の企業やその関係者の状況をIASBテクニカルスタッフが十分に理解し、適切な理解に基づいたフィードバック分析を審議会に提供することに繋がります。日本の関係者のご協力には大変感謝しております。2026年においても日本の関係者とIASB理事やスタッフとの建設的な意見交換の場を提供していく予定ですので、引き続きのご協力をお願い申し上げます。

4.ISSB関連活動

1)SASB公開草案のパブリックコメントに関するエンゲージメント

 ISSBは、SASBスタンダード向上プロジェクトの一環でSASB公開草案に対するパブリックコメントを募集しました。向上策への優先度が高いSASBスタンダードのうち「採掘及び鉱物加工」セクターの8つのすべての産業及び「食品及び飲料」セクターの「加工食品」産業について包括的な修正を行うものと、温室効果ガス排出やエネルギー管理などの開示トピックに関連して産業間の要求事項を整合させるための的を絞った修正を行うものについて、2025年11月末を期日にコメントを募集していました。これを受けて、アジア・オセアニアオフィスでは、関連する産業の企業や投資家を初めとする利用者の方々と対話を実施し、公開草案の内容を説明するとともに、技術的な質問などにも対応しました。ステークホルダーの皆様からのコメントが基準設定に向けた第一歩となりますので、今後のパブリックコメント募集におきましても皆様からのコメントを是非お願いしたいと思います。

5.おわりに

 2026年は日本におけるサステナビリティ開示基準が法制化される予定の大事な年であるとともに、IFRS財団ではIASB議長及び事務局長の交代が予定されており、財団を取り巻く環境も大きく変化が予想されます。アジア・オセアニアオフィスは、IFRS財団の使命を果たすべく、今後もIFRS財団、国内及びアジア・オセアニア地域全体のステークホルダーのための活動を進めていきたいと思いますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。