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2024年公認会計士試験合格者向け特別号(1)

 公認会計士試験の合格、各実務補習所の入所、誠におめでとうございます。厳しい受験勉強を合格という形で無事に終えて、皆さんは会計職業専門家としての第一歩(スタート)を切ることになりました。これから公認会計士となるためには、実務経験に加えて実務補習の修了が必要とはなりますが、実務補習のミッションにある「会計職業専門家としてふさわしい品位と幅広い識見を備え、専門的知識を実務上で応用できる能力を有する公認会計士」としてキャリアを歩み、グローバル時代の社会に貢献していくために必要な基礎を身に付けていくためにも、皆さんには以下の2点のお願いをしたいと考えています。

 まず1点目は、公認会計士になるまで、すなわち実務補習を修了するまで、実務経験や実務補習を通じて、公認会計士となるためにまだ十分でないと思われる「知識」を自ら積極的に維持・向上させていって欲しいということです。

 公認会計士試験に合格した皆さんには、公認会計士になるために必要な一定の「知識」が備わっていることは証明されましたが、これで公認会計士としての「知識」が十分ということでは決してありません。まずは、所属する組織において主体的かつ積極的な姿勢で実務経験を積まれた上で、さらに実務補習を最大限活用することで、自らの持つ「知識」の範囲を広げるとともに深めていってください。自ら学び続ける気持ちを持って、ご自身の能力開発をしていく姿勢(マインドセット)は非常に重要です。なお、変化の激しい時代においては、この姿勢(マインドセット)は、公認会計士になった後も、会計職業専門家として、当然に持ち続けていく必要があるかと思います。

それから2点目は、実務補習を通じて、各実務補習所の同期の仲間とともに、公認会計士としての職業倫理、プロフェッショナルとしての「意識」や「覚悟」について自ら考え学んで欲しいということです。

 プロフェッショナルの定義は様々ですが、波頭亮「プロフェッショナル原論」には「「プロフェッショナル」とは、高度な知識と技術によってクライアントの依頼を適えるインディペンデントな職業だ。業態はさまざまであっても、求められるのはたゆまぬ研鑽によって培われる技量であり、最高の結果を追求するこだわりである。」とあります。また、「正当なプロフェッショナルであるためには、世のため人のため、即ち公益に寄与することを唯一の動機として働かなければならないのである。」という記載もあり、「ノブレス・オブリージュ」という言葉に通じるものがあると思います。

 皆さんは、これから我々の業界の一員として、責任ある意識と行動が求められることになります。実務補習所の講義やゼミナール・ディスカッションなどを通じて、実務補習所を「知識」を学ぶ場としてだけでなく、同期の仲間と共に公認会計士としての職業倫理、プロフェッショナルとしての「意識」や「覚悟」について自ら考え学び、それを発揮できる場として、是非、主体的かつ積極的に活用してください。

 私自身も、会計職業専門家として、引き続き、微力ながらも業界・社会のために貢献していきたいと考えています。皆さんも、実務経験や実務補習を通して、会計職業専門家としての基礎(専門知識、価値観・倫理・姿勢、スキル)を身に付け、変化即応能力・学び続ける姿勢(自身に必要な知力や能力を見極め、研鑽を続ける資質・能力)をもって、この変化の激しい時代において、共に公認会計士として社会に貢献してもらえたらと心から願っています。