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第16事業年度事業計画(2024年度)

はじめに

2024年3月28日開催の理事会で、2024年度の事業計画案及び予算案が承認されました。2024年度の事業計画に基づき、実務補習、継続的専門能力研修(CPD)運営、役員・会計実務家研修、組織運営の主な取組みを紹介します。

各事業及び組織運営の主な取組みについて

Ⅰ.実務補習(CPA事業)

  1. 情報システム開発
    • 実務補習生管理システムの開発と安定稼働
      • 今年度に本格稼働を予定している新実務補習生管理システムについて、データ移行や現行システムとの並行稼働等のテストを適切に実施し、実務補習生及び関係者に対して周知徹底を図ったうえで、システム移行を円滑に進める。
      • 当該システムの稼働により、従来に比べデータの集計及び分析機能が向上するため、実務補習生情報の管理・分析・活用の高度化を図る。
  2. カリキュラム、教材内容の見直し・検討
    • 講義の見直し及び適正化
      • 実務補習所が提供する講義科目数は増加傾向にある。実務補習生の学習効果の向上を目指す観点から、実務補習規則(内閣府令)で定める講義の実施単位数及び修了考査受験要件を踏まえて、内容が重複する科目や、CPD研修で実施している科目等を考慮し講義実施単位数の適正化を図る。
    • アンケートのフィードバック改善
      • eラーニングの補習生アンケート結果について、講師に対して早期に共有することによりさらなる講義の質の向上等の改善を図る。
  3. 実務補習運営の生産性向上(効率化)
    • システムの活用
      • 成績管理について、手動で計算を行っていた部分に関し、新実務補習生管理システムの導入により作業時間の削減を図る。また、実務補習生の各種申請を電子化することにより、手続きの効率アップを実施する。
    • 残業時間の削減
      • 業務の生産性向上の取り組みに加え、担当職員の業務の見直し、適正化を図り、2023年度比の残業時間を削減する。
    • 業務の正確性の確保
      • 業務再鑑体制を整備し、業務のミスを防止する
  4. 実務補習生の利便性向上
    • 実務補習生マイページの刷新
      • 実務補習生マイページを刷新し、修了考査受験要件充足に必要な条件が一目でわかるように実務補習生の利便性の向上を図る。
    • 実務補習生へのサポート
      • 実務補習生の修了考査受験要件充足に向けて、実務補習生が講義、考査及び課題研究において単位の取得漏れを防止する観点から、実務補習生に対して事務局からアナウンスを行うなど積極的に働きかける。
  5. 実務補習事業の収支改善
    • ディスカッション・ゼミナールのオンライン移行による効率化
      • 対面かつ少人数による演習形式で実施しているディスカッション・ゼミナールについて、オンライン環境下でも高い双方向性を保つ方法に変更し、運営委員、実務補習生の会場への移動時間を減らし、参加しやすい環境を提供するとともに会場費の削減を図る。
      • 各地域の支所で単独開催しているディスカッション・ゼミナールについて、東京実務補習所と合同で実施することで支所の負担を減らす。
    • 講義数の適正化
      • 2024年期に提供する講義科目数を適正化(削減)することにより、新たな分野の講義を導入する余地を作ると共に講師謝礼、教材費、撮影費等の費用の削減を図る。
  6. 修了要件充足率の向上
    • 実務補習生へのサポート
      • 各実務補習所の運営委員及び監査法人研修担当者と実務補習生の成績情報を共有することにより、不足する修了考査受験要件を適宜伝え、修業年限での修了考査受験要件の充足を働きかける。
      • 継続生に対しては、継続の意思確認を十分に行うとともに、所属元と連携して早期の修了考査受験要件の充足の働きかけを行う。

Ⅱ.CPD事業(CPA事業)

  1. 業務拡大と受講者満足度向上
    • 地域会との連携、サポートの強化
      • 地域会における配信サポートについて、連携の強化の観点から、配信業務受託を継続する。
    • OBS(Open Broadcaster Software)の更なる発展活用
      • 研修会配信画面レイアウトについて、研修会内容に応じて複数パターンのレイアウトを用意し、見やすく変更することにより、受講者の満足度向上を図る。
    • 研修会配信時の予備体制の構築
      • 現状、研修会配信時はMicrosoft Teamsを使用しているが、不具合により配信不能となった場合の予備配信体制構築について検討する。
  2. CPD事業運営の生産性の向上
    • 業務マニュアル整備
      • 個々の事務局のメンバーが持つ業務ノウハウをチームとしての知見として共有出来るよう、業務マニュアルを整備する。
    • 社外研修受講によるスキルアップ
      • 業務内容に直結するスキルアップ、リスキリングとして、継続的な社外研修受講と能力向上を図る。
    • 残業時間の削減
      • 夜間時間帯の研修会運営が長時間労働に繋がらないよう、メンバー交代での時差出勤を試み、残業時間の削減に努める。
  3. 役員・会計実務家研修グループとの研修プログラム企画への参画および協力体制の構築
    • 役員・会計実務家研修グループの研修プログラム企画に対して、CPD研修会の事業運営に長年携わった結果として培った講師データベース等の人的資本を活用し、講師候補者や研修テーマに関する発案ならびに過去に実施したCPD研修会内容等についての情報が活用できる体制を構築する。
    • 役員・会計実務家研修グループの個人会員(公認会計士)向けプログラムに関して、CPD研修と連携し、その内容をさらに発展させた研修プログラムの企画に参画し、個人会員向けの研修プログラムを展開する。
    • CPD研修会の講師や受講者に対して、役員・会計実務家研修グループの研修プログラムを紹介する。講師や受講者の関与先の企業等への紹介・訪問機会の依頼など、研修プログラム認知のための営業活動を行う。
    • CPDグループと役員・会計実務家研修グループのそれぞれの運営活動に関与し、効率的な運営体制を検討する。
  4. 他団体との協働の拡充
    • 他団体との継続的なコンテンツ提供のためのニーズ調査と企画提案を行う。

Ⅲ.役員・会計実務家研修(研修事業)

  1. 対象顧客別の研修コンテンツの充実
    • 既存コンテンツの見直し(体系化)
      • 研修により習得できるスキルを再定義(マッピング)し、これまで提供してきた研修・コンテンツを仕分けして、受講により向上する能力やスキルを明確化する。若手スタッフや中堅管理職向けのスキルマップだけでなく、経済産業省が公表している「社外取締役ガイドライン」「社外取締役向け研修・トレーニングの活用の8つのポイント」等を参考にした執行役員、社外取締役向けのスキルマップを明示する。これにより、単発であるため一つひとつの講座の連携が希薄で、持続的な学びに繋がりにくいというこれまでの課題を解消し、必要なスキルを受講者層ごとに体系的に学習できる研修体系に再編する。
    • パッケージ化された新しい商品群体系(有料講座)
      • 全3回から5回でゴールに到達できる有料のパッケージ講座を提供する。ゴールとなる知識や専門的知見の習得が可能な研修を提供することで、単発のセミナーが中心となる市販のセミナー群との差別化を図る。(例)大学・会計大学院の会計関係科目の講座を学ぶエッセンス講座、データサイエンス講座 など
    • 中小監査法人向け研修の開発
      • 資本市場の信頼性の維持・向上のために、上場会社監査の担い手として期待が寄せられている中小監査事務所に対して、監査品質の向上や経営基盤強化のための研修を開発することを検討する。
    • 他団体との協働の拡充
      • 他団体と連携した会計リテラシーの向上:日弁連との相互連携をきっかけとして、同団体との継続的なコンテンツ提供のためのニーズ調査と企画提案を行う。また同様の他団体連携を模索し、2024年度中に実現に向けて注力する。
      • 他団体から推奨される研修の推進:現在、公認会計士のCPD、実務補習単位、FP継続教育研修単位については申請により単位取得が可能となっている。また、2023年1月新規企画分より日本公認会計士協会の社外員協議会が推奨する「推奨研修」の認定を進めている。
    • CPDグループとの連携
      • 研修コンテンツの企画や運営に関して、CPDグループと講師情報、研修情報を共有し、相互に新たな研修コンテンツの開発に活かす体制を構築する。特に、公認会計士向けのコンテンツについては、CPDグループが担当している日本公認会計士協会が実施しているCPD研修事業の知見が生かされる部分が多くあるため、重点的な連携を強化する。
  2. 会員制度の見直し
    • 会員制度の見直し
      • 会員のご意見や類似する研修事業を行う団体等の動向を考慮したうえで、会員制度の在り方について検討を行う。
    • 会員別価格プランの検討・導入
      • 現在は、個人会員・法人会員ともに一律のサービスを提供している。特に法人会員に関して、例えば、講師、有識者及び会員相互の交流の場を提供するプラン設定や、今後設置する有料講座をパッケージ化した会員価格プランを提供し、会員の多様なニーズに応えることを検討する。
  3. 営業戦略
    • 研修事業の知名度向上
      • 上場企業の研修担当者に向けて当法人の研修事業をPRする機会を創出する。具体的には、研修担当者向けのセミナーを無料で実施する。また、研修担当者の情報収集は多岐に渡っているため、公式SNSを2024年度中に運用開始する。あわせて、SNSからリーチしやすいウェブページとなるよう、ウェブサイトを整備する。
      • 認知度の向上のため、当法人と関係が深い団体との研修開発についての協働や、当該団体のチャネルの一層の活用を進める。
    • 集客に向けた取組み―特別セミナーの開催
      • コロナウイルスの感染拡大を機に、対面参加を前提とした特別無料セミナーを中断していたが、2024年1月に試験的に会場に出席者を集めた特別無料セミナーを実施し好評を得た。当法人研修が、知識や時事的な内容の習得だけでなく、ビジネス上の「交流の場」となる企画を実施することで、会員入会を促進してゆく。2024年度については、会員無料・非会員有料のタイプのセミナーや特別無料セミナーを複数回実施する予定である。
    • 個人会員獲得に向けた活動
      • 会計関連学会の学術集会などで、当法人研修をPRする機会を探り、大学教員が個人の裁量で使える研究費の使い道の一つとして当法人研修を活用してもらえるよう、宣伝活動をする。まずは2024年夏に予定されているAccounting Week(会計関連の学会の集合イベント)でのPR活動を実施する。
    • 多様なステークホルダーとの連携
      • 既存コンテンツの改良、有料コンテンツ開発の検討にあたっては、関係省庁や外部研修教育機関との連携を密にして対応し、当法人が会計教育のハブ機能を担う組織となることを目指す。

Ⅳ.組織運営

会計人材の育成・会計リテラシーの向上を通じて、我が国の経済社会の発展に貢献する組織としてさらに発展するためIT化を推進し効率化を図るとともに、職員研修等の施策により生産性の向上を目指す。
並行してワークライフバランスにも配慮し、職員にとって魅力ある職場環境の構築を目指したい。

  • 2023年度に導入したシステムを安定稼働させ事務処理業務の生産性を向上させる。
  • 月次決算の迅速化を図る。
  • 当法人の収支改善に向けた具体策を各グループと協働して立案する。
  • グループ及び個人ごとの勤務の状況を把握し、残業時間の削減に努力する。
  • ワークライフバランスプロジェクトチームの活動を推進し、より働きやすい職場環境を構築する。
  • 職員の能力向上のための研修施策について各グループと協力して立案する。
  • 会議体運営についての課題を明確にし、解決策を立案する。
  • 事業継続方針(BCP)、情報セキュリティをはじめとするリスク管理方針について検討する。

おわりに

以上が2024年度の事業計画の概要でありますが、我が国の会計人材育成、会計リテラシーの向上に貢献する教育財団であるという「当法人の社会的価値」を幅広い方に共有していただけるように、これまで以上に当法人の認知度向上に向けて、様々な施策で取り組む所存でございます。関係者の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。