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第15事業年度事業計画(2023年度)

はじめに

2023年3月29日開催の理事会で、2023年度の事業計画案及び予算案が承認されました。2023年度の事業計画に基づき、実務補習、継続的専門能力研修(CPD)運営、役員・会計実務家研修、組織運営の主な取組みを紹介します。 (※2023年4月から、継続的専門研修(CPE)制度は継続的専門能力研修(CPD)制度へ拡充されました。)

各事業及び組織運営の主な取組みについて

Ⅰ. 実務補習(CPA事業)

  1. カリキュラム、教材内容の見直し・検討
    • 「カリキュラム・教材検討会」と各教科の分科会において、2023年期向け教材の内容見直しを行う。見直しに当たっては、体系的な学びが得られるよう、提供科目数、講義の新設・統廃合、講義形態等の様々な観点から検討する。
    • 実務補習生に対するアンケート結果について、講義を担当する講師を交えて、アンケート結果に基づいた所要の教材の改訂を行う。
    • 講義・教材を担当する講師のデータベースを設け、講師の交代や欠員に迅速に対応できる体制を整備する。
  2. 「日本版会計不正ケーススタディ」科目の実施について
    • 過去に発生した会計不正事例を通じて、会計不正の手口や背景を理解し、会計不正に対する意識を高めることを目的とした科目を実施する。本科目を通じ、実務補習生に、論理的思考力を、文章力とプレゼンテーション力の両面から養ってもらうことも狙いとしている。
  3. 継続生対策
    • 所定の年限で修了考査受験要件を満たすことのできなかった継続生に対して、実務補習継続の意思確認手続きを実施するとともに、所属元の監査法人と連携して修了考査受験要件の早期充足を引き続き働きかける。
  4. 新たな実務補習生管理システムの構築
    • 現在、複数のシステムで管理している実務補習生情報を一元管理することを目的として、2023年11月を目途に、新たな実務補習生管理システムを導入する予定である。新システムの導入により、実務補習生の学習傾向分析を容易にし、実務補習生の効果的な学習をサポートすることを視野に入れている。
    • 実務補習生の各種事務手続きを、より適切に行うため、入所・転所等に関する各申込書の電子化を図り、実務補習所業務の効率化を実現するためのシステム導入を進める。
  5. 業務運営の効率化に向けた取り組み
    • 業務の効率的・安定的運用のため、業務マニュアルを更新する。
    • 業務分担の見直しや人事異動を実施し、効率的な講座運営を検討する。
    • 新実務補習生管理システム構築等により、長時間労働を削減するための施策を実施し、残業時間を2022年に比較して削減することを目指す。
    • 定期的に開催する会議体において、会議資料のペーパーレス化に取り組む。また「ファイル共有システム」を使って会議資料を共有することにより業務効率化を図る。
  6. 実務補習所間の交流
    • 実務補習の担当者が東京・東海・近畿・九州の各実務補習所の運営委員会に参加し、各実務補習所の課題を認識し、運営業務やカリキュラム、教材に反映する。
  7. 請求書発行業務の一括化について
    • 2023年10月1日からインボイス制度が導入されることを踏まえ、各実務補習所から発行する請求書発行業務を見直し、請求書を当法人から一括して発行する運用を目指す。
  8. 会計大学院協会との連携強化について
    • これまで実施してきた会計大学院協会連携講座について改善の検討や、会計大学院協会と実務補習所のコアカリキュラム共有化に向けた協議を引き続き行う。

Ⅱ.CPD運営(CPA事業)

当法人は、日本公認会計士協会(以下、「協会」という。)との「継続的専門研修の共同開催等に関する合意書」に基づき、協会が企画したCPD研修プログラムの運営業務を担当している。

2020年度からは集合研修に加えリモート配信を実施するハイブリッド型の研修会が中心となっており、リモート配信4年目を迎える今年度は、リモート配信の安定化と受講者の満足度向上に取り組む。

  1. CPD研修会受講者の満足度向上への取り組み
    • 協会の本部研修で培ったリモート配信運営のノウハウを活用し、今まで集合研修がメインであった地域会や地区会のリモート研修会開催をサポートする。
    • 外部に依頼している事前収録動画編集業務の内製化を検討し、当該業務に係る時間の短縮、費用の削減を図る。
    • 講師映像と研修会資料を1画面上に表示する画面レイアウトに変更する等、受講者の満足度を上げるための、配信に関する品質向上を実現する。
  2. CPD事業運営の生産性の向上
    • 現在、手入力やFAXによる研修会申し込み情報の登録申込業務のシステム化を図る。
    • 協会の会館リニューアル計画について、地下ホールの電波状態の改善、音響ラックの移設など、研修の品質向上と運営の効率化に資する改善案を提案する。
    • 社外研修を受講し、生産性向上につながるノウハウを身に付け実施する。
  3. 他団体との協働
    • 協会以外の組織(士業、大学)に、当法人のCPA事業の蓄積した研修会運営(事前準備・当日運営)のノウハウや研修プログラム、及び最新のテクノロジーを駆使した不正受講防止の方法を提供することを検討する。協力関係を深化させる一環として、公益財団法人日弁連法務研究財団とのコンテンツの相互利用等の連携を図る。

Ⅲ.役員・会計実務家研修(研修事業)

2023年度は、次の3つに重点をおいて事業計画を策定した。

  • 研修プログラムの充実については、これまで実施してきたプログラムの一層の充実を図り、会員増のモメンタムを維持する。加えて、法人会員からの要望を反映して、管理職を対象とした研修プログラムの新設に取り組む。さらに、公認会計士の個人会員の増加を踏まえて、公認会計士をターゲットとした取り組みに着手する。
  • 広告宣伝・PR活動については、研修やセミナーの共催・後援等の、他団体との連携を通じた活動と、専門誌を介した活動を中心に取り組む
  • 研修業務運営については、法人会員の超過受講及び個人非会員の受講料値上げによって、法人会員の口数増加や個人会員の増加を目指すともに、運営コストの削減に重点的に取り組む
  1. 2023年度の研修プログラムとプロモーション
    • 新規会員の開拓に資するため、社外役員講座等の話題となっているテーマの講座を企画する。
      • 2022年度に実施した『独立社外役員・執行役員向け講座』について、ラインナップの過不足を検証し、一部講座については内容を見直す。また、東京証券取引所及び協会にプロモーションの協力を要請する。
      • 『ESG講座』は、気候変動(E)に加え、エネルギー問題(E)、生物多様性(E)、人権(S)等を取り扱う。
      • 法人会員からの「管理職を対象とした研修」についての要望を踏まえ、新規講座として『管理職及び管理職候補を対象とした講座』を企画する。また、この講座では、女性活躍を支援するNPO法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(以下、「J-win」という。)と提携し、女性に特化した要素を組み入れる。
    • 既存の会員の要望に応えるため、当法人の定番講座(会計・税務等)を基準・税制改正等を反映し、環境の変化を踏まえた見直しを実施する。
      • 当法人の研修コンテンツは、会計・税務分野を中心としながら、幅広く会員を募る目的で、ESG等の話題となっているテーマや課題解決力向上等のソフトスキル研修を企画してきた。一方、法人会員へのヒアリングの分析の結果、経理・税務系人材が当法人の研修を多く活用している実態が判明した。この結果を受けて、引き続き既存のラインナップは維持し、必要な修正を加えるとともに、受講効果を踏まえて研修プログラムの全体を体系立てて整理する。
  2. 広告宣伝・PR活動
    • 日本監査役協会との研修共催、日本取締役協会の研修後援等や、専門情報誌を介した広告宣伝を中心に行う。
      • 2022年度に実現した、日本監査役協会との共催研修会の開催、日本取締役協会の研修会への後援(講師紹介)、オービックビジネスコンサルタント主催の研修会への後援等を継続する。
      • 監査法人会員を増加させるため、非会員の監査法人に個別アプローチを試みる。
      • 協会組織内会計士ネットワーク、社外役員ネットワーク所属会員の関与企業へのアプローチ
      • 2022年度に試みた、週刊経営財務や会計・監査ジャーナルに理事長インタビューや対談等の提案を2023年度も継続する。
  3. 運営関係
    • 受講料の見直しを行う。
      • 法人会員(3名枠を超過して受講する場合):@3,000円を@5,000円に変更
      • 非会員:現在@10,000円を@15,000円に変更
    • 現在120分が大勢を占める講義時間を90分に短縮することや、配信方法を変更することによってコスト削減を実現することに注力する。
    • オンデマンド配信期間を延長することによって受講生に対する利便性を向上し、会員増加に結びつける。

Ⅳ.組織運営

2021年12月にとりまとめた「機構の将来像」を基に、効率的な業務体制の整備・充実、職員の研修制度の整備、今後の課題を見据えた体制整備及び業容拡大に向けた取組み等を実施する。

おわりに

以上が2023年度の事業計画の概要でありますが、我が国の会計人材育成、会計リテラシーの向上に貢献する教育財団であるという「当法人の社会的価値」を幅広い方に共有していただけるように、これまで以上に当法人の認知度向上に向けて、様々な施策で取り組む所存でございます。関係者の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。